中国ギョーザ 消費者軽視はごめんだ(8月8日)

|

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が、中国国内でも発生していたことが分かった。同じ製造元のギョーザを食べた複数の中国人が六月中旬、中毒症状を起こしていた。

 日本国内と同じ有機リン系殺虫剤メタミドホスが原因だ。

 これまで中国側は、自国での混入の可能性は極めて低いと主張し、事件の捜査は行き詰まっていた。

 今回のことで、中国国内で混入されたのは、ほぼ間違いなくなった。

 中国公安当局が一時、日本側に責任があると言わんばかりの対応を見せた事件だ。日中の国民相互に強い不信感を招いた。

 その解消のためにも、中国政府は早急に全容を究明し、結果を内外に公表するよう求めたい。

 公安当局は北京五輪の警備に全力を挙げている。捜査の本格化は五輪閉幕後になるというが、福田康夫首相は八日に北京で行う胡錦濤国家主席らとの会談で、早期解明を強く促してもらいたい。

 中国で中毒が起きた情報が外務省にもたらされたのは、北海道洞爺湖サミット直前の七月初めだ。

 日本政府は一カ月間、これを公表しなかった。この対応は疑問だ。

 外務省によると、情報は公開しないでほしいとの中国の要請があったという。

 日本政府は、一方的な公表は信頼関係を損なうとしているが、中国が威信をかけた五輪が終わるまで波風を立てたくなかったのではないか。

 しかし、事件でまず被害を受けたのは日本の消費者であることを忘れてはならない。

 ギョーザを食べた千葉県の女児は生死の境をさまよった。ギョーザ事件をきっかけに、中国食品に対する日本の消費者の不信も高まった。

 それだけに、中国での中毒発生を政府は早く公表できなかったのか、日中間でその点を厳しく協議したのか、疑問が残る。

 中国に配慮する一方、日本の消費者が知りたい情報は公表を控える。これでは、どちらに顔が向いているのか分からない。国民の安心・安全を軽視していると言われても仕方ないだろう。

 福田首相が改造で掲げた「安心実現内閣」の名が泣く。また、消費者行政担当相が知らなかったのも驚きだ。省庁間の連携が不十分だ。

 一月にギョーザ事件が発覚した際、政府内の連携不足が問題となった。その対策として、厚生労働省、農林水産省を中心に関係省庁の情報共有を打ち出したはずだ。

 輸入食品が欠かせぬ時代だ。外務省や警察庁も情報共有の輪に入れて、食の安全に万全を期すべきだ。